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原発があるザポリージャ州の地元メディアに聞く
ザポリージャ州 新聞再発行に大きな意義

放射能汚染地で数万人の病気を治し、親友になった記者の団体へカンパを 開戦前に200万円、開戦して100万円、さらにグリーンコープが1000万円。このお金で廃刊した15地方新聞が復刊と2023年2月号でお知らせしました。
 スヴィトラーナ・カルペンコ編集長
「労働の栄光」新聞
2022年2月までは1日1500部を発行。
今は月2回、無料で3100部を発行

ロシア砲撃で避難

ザポリージャ原発から約60 km東にある 14000人ほどのオリヒウ市に「労働(トゥルドヴァ)の栄光(スラヴァ)」新聞がありました。
 ザポリージャ州への砲撃は2022年2月末 に始まり、オリヒウ市も長時間の爆撃を受けたため、住民は街から逃げ出し始め、新聞は2月26日の発行で止まりました。
 若手社員は3月に西部のリヴィウ州へ、私と家族は4月2日に、他のスタッフも夏の終わりまでに、60㎞北西にある州都ザポリージャ市へ避難しました。
 ロシア軍に捕えられたスタッフはいません。
 新しい居住地への適応に苦労していたら、新聞復活計画がウクライナジャーナリスト連盟(NUJU)のザポリージャ州支部によって策定され、編集部は活動を再開しました。
 2023年3月、NUJUトミレンコ会長と私がオリヒウを訪れると、新聞社は爆撃で破壊されていました。4月5日に「労働の栄光」新聞を発行。
 それから、月2回を目標に、2023年には16号、 2024年には24号を発行しました。
 ザポリージャ市は、前線から30km ほど離れているだけなので、さまざまな攻撃を受けて、電気や水道が止まることがあります。
 最前線で生活している人々には、水も食料も電気もインターネットもありません。
 新聞は命綱のような情報源で、戦地だけ でなく、安全な場所に避難した人々からも待望されています。
 その人たちに、水や食料と一緒に正しい情報を届けようと、新聞を作っているのです。

新聞社にはオフィスがない

 編集チームは、印刷した新聞を発行するだけでなく、ウェブサイト、ソーシャルメディア、YouTube でも情報発信するようになっています。
 現在、新聞社には9人のスタッフがおり、そのうち7人が記者です。オフィスはないので、新入社員を含むスタッフ全員がリモートで働いています。
 スタッフ全員が賃貸住宅に住んでいて、家賃や光熱費を支払わねばならないので、記者たちは苦労しながら他の組織でも働いています。
 戦争中は広告収入や新聞販売による収入を得ることができません。引き続きご支援をお願いします。